幼稚園で日常茶飯時に起こる喧嘩。
喧嘩レベルは、まさに様々。
ぶつかったぶつからない、の喧嘩
おもちゃを貸す貸さない、の喧嘩
一緒に遊んでくれない、という喧嘩
この辺から始まり、
年齢と共に徐々に喧嘩の内容も複雑化してきて、
誤解やら理由やらが個々に渦巻いているややこしい喧嘩もある。
そういう喧嘩は、主に年長さんに多く見られているよね。
では、目の前で喧嘩が起きた時に幼稚園ではどうするのか?
私は、すぐには助けません。仲裁にも入らない。
まずは見守るね。
大きな怪我に繋がらない限りは、取っ組み合いでも止めない。
子ども同士でどこまでやるのか、見守る。
逆にけしかける時もあるくらいだ。
何故けしかけるかというと、
喧嘩というのは、まさに自分の感情の吐露でしょ。
押し殺してばかりでは進展しないことだってある。
相手に譲ってあげる優しさも大事だけど、
自分の感情を爆発させる機会も、幼児期には大事なのだ。
喧嘩もしたことがない人間が大人になったら怖いっしょ。
キレたら終わり、みたいな。
そんな訳で、
幼児期のうちにどんどん喧嘩をして自分の感情をぶつけていくのは、
とても意義のあることだと私は思っている。
だから、けしかける時もあるのだ。
そこから和解の仕方を学んだり、
手加減を学んだり、
相手の気持ちを知ることを学んだりするからね。
で、暫く見守った後、頃合を見計らって仲裁に入ります。
子ども同士でちゃんと解決できていたら仲裁に入らないけどさ。
仲裁に入る時は、
当たり前だけど、どんな状況であれ、
必ず双方の言い分を聞きます。
傍から見ていて、一方的にやっつけている場合であっても、です。
明らかに片方が悪い場合であっても、です。
だって、それはあくまで「傍から見ていて」の感想だもん。
子どもの内情はどうかは分からない。
先に手を出した方が悪いんだけど、
それを怒れば喧嘩の原因が解消できるかといえば、そうじゃないから。
どっちが悪いかなんて、本当は見ているだけじゃ分からないのよ。
双方の言い分を聞いて、初めて分かる誤解だってあるんだから。
さて、ここで、どうやって双方の言い分を聞いていくかなんですが、
とある研修会で言われたんだ。
「『どうして●●しちゃったの?』という聞き方は、
子どもを追い詰めてしまい、逆に心を閉ざしてしまう事もあるので、
『本当はどうしたかったの?』と聞きましょう。
その方が子どもは素直になれるでしょう。」
というお話だった。
ほほー。なるほど。
前者も聞き方次第では有効だと思うんだけど、
怒って「なんで叩いたの!?」という言い方だとダメだろうね。
とにかく、双方に話を聞くときに大事なのは、
どっちが悪いと決め付けた態度で聞かないこと。
『先生は怒っているんじゃなくて話が聞きたいだけ』というオーラを出すこと。
私なんか実際にこれ↑言っちゃってるし。
誤解をしているのなら、その誤解を解くために仲裁しているんだし、
仲直りさせるために仲裁しているのであって、
怒るために仲裁しているのではないからだ。
喧嘩をしているのを知った上で見守ってた以上、
いきなり怒るのはあまりに理不尽でしょ?
ただし、例外もある。
双方の話を聞いて仲裁しているのに、
ふざけていたり、バカにした態度を取ったりしている時だ。
少なくとも私はそうだ。
ちゃんと話をせずに、聴く耳持たなかったり、おちゃらけていたりすると、
私は怒るね。
どんな理由であれ、最終的には双方が謝らなくちゃいけない。
誤解を解くために話さなくちゃならない。
なのに、ふざけているなんて、そんなのは相手に失礼だからだ。
ふざけて謝ったって、そんなのは謝った内に入らないからね。
ま、とにかくお互いの話を聞いて、
誤解している点、
本当は叩くんじゃなくて口で言わなくちゃいけなかった点、
本当はどうしたらよかったのか、などを子ども達と話し合った上で、
仲直りさせます。
あくまで、話し合うこと。
一歩的に大人が
「●●したんだから謝りなさい!」ではダメよ。
そんなのは原因解決にならないし、またやるから。
目の前で起こった喧嘩じゃなくても同じです。
「○○くんが喧嘩して泣いてる〜」と子どもから報告があった時とか、
親御さんから
「子ども同士で揉めていて登園拒否気味なので様子を見てください」
と言われた時とか、
どんな場合でも、大事なのは当事者双方の話を聞くこと。
そこから解決に導いていくわけよ。
なのにさー、こないだびっくりしちゃって。
新人の先生が初めて喧嘩の仲裁している所を見たんだけど。
それは『目の前で起こった喧嘩』ではなくて、
『数日前に起こった揉め事で、
幼稚園いやだと言っているので心配なので様子を見てください、
と親御さんから連絡が来た』バージョンだった。
数日前、なんて子どもは覚えちゃいないでしょ?
それを思い出させるところから始まったり、
忘れてたら、こういう事があったんだけど、と切り出したりするわけよ。
どっちにしても、片方は気にしているわけだから、
何らかの解決法は取らないといけないじゃない?
でも、それを放置。
え〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!マジっすか!?
放置していることにすぐ気が付かなかったのは私のミスかな・・・
(ってか、担任なんだから自分で何とかするのが普通なんだけど)
気が付いてすぐに、双方に話を聞いて解決するように頼んだ。
で、近くで仲裁を聞いてみたんだけど・・・
2人を集めて、出た言葉1発目。
「意地悪しちゃったの?」
おいっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!
なんだその仲裁の仕方は〜〜〜〜〜〜!?
そんなの初めて見た。なんだそれ!?
そんな喧嘩仲裁の仕方があるかいっっ
しかも、数日前のことなんだってば!!!!!!!!!
いきなりそんな事言われて、何のこっちゃ分からないでしょ??
なんでそんな事も分からないんだ????????
すごい・・・すごすぎ・・・
喧嘩の仲裁の仕方なんて、
幼稚園の先生なら誰もが知っていると思ったのに。
いくら1年目とはいえ、それはないでしょう・・・
経験日数は少ないけど、その分学校に一番近い年齢でしょ?
幼児教育科で何を習ってきたわけ???
驚きです・・・
喧嘩の仲裁は1歩間違えると、子どもの心を遠ざけてしまいます。
が、逆に、親身になって仲裁したり、
ちゃんと子どもの心を汲み取れる仲裁ができたら、
子どもの心に近づけるし、子どもも近寄ってきてくれます。
親御さんは、頭ごなしにならないように、
幼稚園の先生であれば、どっちが悪いと決め付けないようにして
仲裁してあげてくださいね。